【テーマ】第4回 社会保険の年収の壁の改正について
人事・総務・経理ご担当の皆様、こんにちは!
前回は、令和7年(2025年)の年末調整で注意すべき税制改正のポイントについて解説しました。
今回は、所得税の「年収の壁」と並んで、
社員の方々の働き方に大きな影響を与える「社会保険の年収の壁」に焦点を当て、
その改正内容と今後の動向について詳しく見ていきましょう。
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知っておきたい年収の壁と実務への影響
第4回:社会保険の年収の壁の改正について
「年収の壁」には、所得税の壁だけでなく、社会保険の壁も存在します。
特に、パートやアルバイトで働く社員の方々にとって、これらの社会保険の壁は「もっと働きたいが、保険料がかかることにより手取りが減ってしまうから調整して働く」という「就業調整」の大きな要因となっていました。
社会保険の主な「壁」は「106万円の壁」と「130万円の壁」の2つです。
1. 106万円の壁(短時間で働く方が社会保険に加入するかどうかの基準)
(1)どんな壁?
「106万円の壁」は、主に短時間で働く方が自分の勤務先で社会保険(厚生年金保険・健康保険)に加入するかどうかの基準となるものです。
この壁の適用を受けるのは、以下の全ての要件を満たす社員の方です。
- 週の所定労働時間が20時間以上
- 月額賃金が8.8万円以上(年収106万円以上)
- 雇用期間が2ヶ月を超える見込み
- 学生ではない
- 勤務先の厚生年金保険の被保険者数が常時51人以上
(2)今後の変更点
- 「106万円の壁」は、2~3年以内をめどに廃止予定。
- 企業規模要件(被保険者数51人以上)は、令和9年(2027年)10月1日から令和17年(2035年)10月1日まで段階的に撤廃。
- 最終的に、週20時間以上働く社員は企業規模にかかわらず社会保険に加入。
2. 130万円の壁(家族の扶養に入ることができるかどうかの基準)
(1)どんな壁?
「130万円の壁」は、配偶者や子などが被扶養者として家族の健康保険や年金に加入できるかどうかの基準です。
- この壁を超えると、被扶養者ではなくなり、自分で国民年金や国民健康保険に加入し保険料を負担。
- 60歳以上や障害がある場合は「180万円」が基準。
(2)今後の変更点
- 将来的に見直し議論あり(時期・詳細は未定)。
- 令和7年10月1日以降、19歳以上23歳未満(配偶者を除く)の場合は「150万円の壁」に引き上げ。
- 税制改正の「特定親族特別控除」と連動。
- 年齢は「その年の12月31日時点」で判定。
社会保険の「年収の壁」の主な変更点
| 壁の種類 | 対象 | 旧基準 | 新基準(適用時期) | 今後の見通し |
|---|---|---|---|---|
| 106万円の壁 | 短時間勤務の社会保険加入基準 | 年収106万円以上(月8.8万円) | 廃止予定(2~3年以内) | 企業規模要件も段階的撤廃(R9.10.1~R17.10.1)。週20時間以上は全員加入へ。 |
| 130万円の壁 | 家族の扶養からの離脱基準 | 年収130万円未満 | 年収130万円未満(60歳以上・障害者は180万円未満) | 将来的な見直し議論あり(時期未定)。 |
| 特例 | 19~23歳未満(配偶者除く) | 年収130万円未満 | 年収150万円未満(R7.10.1~) | 税制の特定親族特別控除と連動。 |
3. 「収入」の範囲の違いに注意!
税金上の「収入」と社会保険上の「収入」では、範囲が異なります。
- 税金上の収入:課税対象となる収入のみ
- 社会保険上の収入:通勤手当、失業給付、傷病手当金、出産手当金など非課税の収入も含む
例
給与課税分が103万円でも、非課税の通勤手当27万円があれば、
- 税金上:103万円
- 社会保険上:130万円(扶養判定対象)
社会保険の「年収の壁」の改正は、社員の手取りや働き方に直結します。
特に、「いくらまで働けるか」「扶養から外れるのか」といった質問が増えることが予想されます。
人事・総務・経理の皆様は、これらの変更点を正確に理解し、社員に分かりやすく伝えられるよう準備を進めてください。
次回は、今回の税制改正が2026年(令和8年)以降に与える影響について解説します。
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