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有給休暇の付与・取得日数も同じなのに、就業規則の定め方次第で「残日数」が異なるカラクリとは?

有給休暇は、法律で次のように決められています。

  • 出勤率8割の場合
  • 入社6か月経過後10日間の付与(その後1年経過で11日…と増えていく)
  • 有効期限は2年間

ただし、上記は最低基準であるため、付与のタイミングは会社によって異なることがあります。

しかし、有給休暇の付与のタイミング、取った日数も同じにも関わらず、入社3年目以降の「残日数」が変わってくることがあります。

今回は、なぜそのようなことが起こるのか、チェックするポイントを取り上げます。

一般的な有休消化の考え方

有給休暇の有効期限は「2年間」です。

ですから、
1年目に付与され、
2年目に付与され、
3年目に付与されるときに、1年目に付与されて残っている有給休暇は回収されます。

(イメージ:拙著「『社会人になるのが怖い』と思ったら読む会社の超基本」(飛鳥新社)より)

例えば、1年目も2年目も5日取得した場合、通常であれば次のとおりになります。

●1年目
10日付与
→5日取得すると5日残

● 2年目
11日付与+1年目の残日数5日=16日
→5日取得すると11日残

● 3年目
12日付与+2年目の残日数11日23日

しかし、就業規則の定め方によっては、3年目に取れる有給休暇が「18日」となるケースがあります。

就業規則の規定を見てみよう

就業規則の中に「有給休暇」の規定があり、さらにその中に「有効期限」や「時効」といった規定があります。

(一般的な例)

  • 年次有給休暇は、付与された年度の次年度に限り繰り越すことができる。
  • 年次有給休暇の有効期間は2年間とします。
  • 付与日から1年以内に取得しなかった年次有給休暇は、付与日から2年以内に限り繰り越して取得することができる。

表現は違いますが、これらはすべて「有給休暇は2年間有効だから、1年目に使わなかったら繰り越されます」ということが書いてあります。

この規定があったら要注意

さらに、「繰り越された有休の使い方(消化)について」も書いてあることがあります。

(一般的な例)
繰り越された年次有給休暇とその後付与された年次有給休暇のいずれも取得できる場合には、繰り越された年次有給休暇から取得させる。

つまり、
繰り越された有休がある場合、「前年度分(繰り越し分)から使う」と規定しています。

上記と定められているのが一般的です。

もし、書かれていない場合は、上記のとおり、つまり「前年度分(繰り越し分)から使う」となります。

しかし、ごくまれに次のような規定がされていることがあります。

年次有給休暇の消化については、今年度の有給休暇日数から消化し、その残日数が無くなった場合に前年度から繰り越された日数を消化するものとします。

これはいいかえると、繰り越した有給休暇があっても、まずはその年に付与された有給休暇から使い、今年度分がなくなったら前年度(繰り越し)分を使う、という意味です。

もしこの規定が書いてあると、次のとおりとなります。

●1年目
10日付与
→5日取得すると5日残

●2年目
11日付与+1年目の残日数5日=16日
→5日取得すると
→まず今年度から使うので、6日残(繰り越し分5日は消える)

●3年目
12日付与+2年目の残日数6日18日

このように、付与のタイミングや日数、取得した日数が同じでも、規定の仕方によっては3年目の日数が変わることがあります。

繰り返しになりますが、繰り越し分の取り扱いについて何も書かれていない場合は、「前年度分(繰り越し分)から使う」ことになります。

いざ使おうと思ったとき「考えていた日数と違う!」とならないよう、一度、就業規則を確認してみましょう。

参考になれば幸いです!


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