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台風、大雨、地震など自然災害の時の対応~判断基準の決め方、給与・休暇の取り決めについて

毎年、9月・10月は大雨や台風などの異常気象時において、会社として対応をどうするのか、という点について悩まれることが多いのではないでしょうか。

今日は、万一の時に備えて企業対応を見て行きましょう。

前提:自然災害等に対して会社が考えておくべき「安全配慮義務」

自然災害時の対応については、「企業で独自に決める項目」となります。

極端にいえば、台風が接近している場合や気象警報が発令されている状況で、社員を働かせてはならないという法律はありません。

しかし、会社は「安全配慮義務」という義務を負っています。

暴風のなか出社を命じ(あるいは、自宅待機を命じず従業員が会社の規定に則って自主的に出社をして)、道中で従業員がケガや事故が起きた場合には、安全配慮義務違反を問われて、損害賠償請求に応じなければならなくなる可能性もあります。

そのため、その時々において「安全を配慮する」ことと「業務を進めること」のバランスを取りながらの判断が必要となります。


自宅待機、会社待機するかどうかの判断基準をどうするか

1.自宅待機、会社待機するかどうかの判断基準について(一般論)

通勤手段によって次のように定めている傾向にあります。

  • 電車通勤が多い場合→鉄道の運行情報を基準にする
  • 自動車通勤・自転車通勤が多い場合→道路運行状況・警報を基準にする

※都市部では電車通勤がメインの会社様が多く、①の方が多い印象です。

2.鉄道の運行情報を基準にする場合

(1)どの路線の運行情報を基準にするか

鉄道の運行情報を基準にする場合は、次の2種類のいずれかで検討される企業様が多いです。

  1. 自分(社員個人)が利用する鉄道の運行情報で判断
  2. 会社(事業所ごと)のメイン路線を決め、その路線の運行情報で判断(メイン路線がストップすれば、事業所としては休みにする)

基本は①のみで運用する会社様が多いのですが、自動車通勤の方が中にいらっしゃる場合に「自動車通勤だったら(道路が通行止めにさえならなければ)いつでも来ることができる」となるため、①と②を合わせた基準を設けている企業様も出てきました。

(2)いつの時点で判断するか

どの路線で判断するかを決めたうえで、次に判断する「時点」も設定しておくとよいでしょう。

  1. 出社時点で運休している場合は休業。
  2. 計画運休が発表されており、出社時間・帰宅時間の運休が明らかな場合は休業(判明したタイミングで、周知連絡する)。
  3. 会社にいる間に運休が発表された場合は、速やかに帰宅(ただし、出歩くと危険な場合は除く)。
  4. (計画運休は発表されていなくても)運休する可能性がある場合は、在宅勤務や自宅近くのサテライトオフィスで勤務する(無理に出社しない)。

昨年までであれば、④(在宅勤務やサテライトオフィス勤務)と判断する企業様はほとんどありませんでした。しかし、コロナウイルス感染防止策としてテレワークも進む中で、今年は④で対応する企業も増えるでしょう。

3.警報を基準にする場合

鉄道の運行基準で判断される企業様が割合としては多いですが、警報を基準に判断される場合もあります。

弊所がオススメしているのは、気象庁が発表する「警報級の可能性」です。個別判断が必要となりますが、予測が出ているため、判断しやすくなります。

http://www.jma.go.jp/jma/kishou/know/bosai/prob_warning.html

あるいは、単純に「暴風警報、暴風雪警報、大雪警報、特別警報が1つでも出た場合」は自宅待機とする場合もあります。

(例:朝5:00発表時点で警報発令→自宅待機、11:00時点で警報解除→午後から出社)

4.地震等で停電やSNSも利用できない場合に備えて、「自己判断基準」を設け周知しておきましょう

地震や落雷で長時間停電が考えられるケースもあります。

その場合、社員一人ひとりの考え方によって行動が異なってしまいますので、事前に「会社としての基準」を明確にしておくとよいでしょう。

  • 会社と連絡が取れるまで、自宅待機
  • 出社できるのであれば、出社する

一昔前であれば、「何はともあれ出社できるよう努力する」という②が多かったように思います。

しかし、自然災害の頻発や東日本大震災、北大阪地震での経験をもとに、情報収集がままならない中での出社は危険であり、会社と連絡が取れないまでは「①自宅待機するように」という基準を設ける企業も増えてきました。

5.連絡体制を明確化しておきましょう

判断基準や当日連絡が取れない場合の対応について決まったら、最後のまとめとして「誰が判断し」「誰が誰に連絡をするのか」を明確にし、周知しておきましょう。

(例)情報を集約する方法と場所、意思決定を行う担当者、周知方法および順序


就業規則「賃金・休暇」をどう対応するか

最後に、就業規則にどのように記載するか見ておきます。

なお、以下の表は月給の方を想定しています。(時給の方は、「働いた時間の賃金を払う」が原則)

  法律論一般論
電車が止まっており、休業(遅刻・早退)した場合「不可抗力による休業」とみなされ、休業手当、会社の給与支払い義務なし
(=休んだ人は、欠勤または有給休暇)
特別休暇として「有給休暇」とは別に処理されるケースが多い。ただし、有給休暇を利用してもらう処理でもOK
電車が止まっていないが、会社命令で休ませた(遅刻・早退した)電車が止まっていない=「会社判断の休業」とみなされ、会社の給与支払い義務がある特別休暇として「有給休暇」とは別に処理されるケースが多い。ただし、有給休暇を利用してもらう処理でもOK
電車が止まっておらず、会社は来るように指示したが、本人が休みをとった(遅刻・早退した)会社の給与支払い義務なし
(=休んだ人は、欠勤または有給休暇)
有給休暇にするケースが多い
※ただし個別の事情により、上記内容の解釈とは異なることがあります。

いずれにしても、会社として基準を定めて、社員の方に周知することで、いざというときに個々人あるいは各事業所においてあわてることなく判断ができる、人によって不公平が生じるといったことが無くなります。

ぜひ、平時に決めておくようにしましょう。


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